楽器がヘタでも音楽はできる!!アフロ・ミュージックを聴け!フェラ・クティの世界観
思わず胸が熱くなる音楽。
ムネアツな音楽を多くの人に届けたい。
音大出身・元ミュージシャン
現在しがないサラリーマンをやりながら
ミュージックジャーナリストをしているトラエイタです。
今日は、アフロミュージックの創始者
ナイジェリアのフェラクティを紹介します。
まず最初に、フェラクティがいったいどんな人か簡単に紹介させていただきます。
フェラクティは、1938年生まれのナイジェリア出身のミュージシャンで、サックス、ピアノを演奏し、ヴォーカルもできるマルチミュージシャンです。
アフロビートの創始者として音楽ファンの中では有名なアーティストの一人で、
また楽曲においては政治的な歌詞と黒人解放へのエネルギーを表した力強いサウンドが特徴的です。
このような音楽を通じて政治的メッセージを伝えるということに関して、
あのレゲエの神様ボブ・マーリーにも影響を与えたともいわれております。
フェラ・クティの音楽のなにが特徴的かというと。おもに、3つあります。
1.アフリカ特有のノリ
聴いていただくとわかるのですが、ダダッスカダダダンという、パワフルでリズミカルなアフリカンビートがそこにはあります。
民族楽器として打楽器が多いアフリカならではのリズム感です。
2.あまり上手ではない、サックスとシンセサイザーの演奏
まずは、下記のKalakuta Showの30秒あたりを聴いてみてください。
シリアスな雰囲気にも関わらず、フェラ・クティはサックスのリードミスをしてしまっています。
https://music.youtube.com/watch?v=wyfZX8diFsA&feature=share
なんとも、人間的というかなんというか。
次にこちらを聴いてみてください。
https://music.youtube.com/watch?v=UxwDsPNMa9s&feature=share
フェラ・クティのソロから始まるこの曲ですが、
自分で作った曲にも関わらず、フェラ・クティかなり転んでます。(特に45秒あたり)
それでもいいんですよ。
だって、かっこいいし、メッセージが伝えられるから。
そうなんです。フェラ・クティにとってこれが音楽なんです。
3.強力なブラスサウンド。
2分30秒から始まる強力なブラスサウンドは、フェラ・クティならではです。
ここまでパワフルなブラスサウンドは他のミュージシャンではなかなか聴くことができません。
1,アフリカ特有のノリ
2,あまり上手ではない、サックスとピアノの演奏
3,強力なブラスサウンド
ぜひとも、この3つを意識しながら聴いていただければと思います。
この3つが特徴的だといえます。
【フェラ・クティのムネアツストーリー】
フェラクティは当時のナイジェリアの腐敗された政権と戦い続けました。
彼は1968年にアメリカツアーに行った際に、
マルコムXらによる黒人解放運動の影響を強く受けて帰国します。
そして、この後彼は、世界の黒人が連帯する事を目指し、
その第一歩として、アフリカの統一を目標にかかげるようになり、
そのための音楽活動をしてゆくようになります。
<カラクタ共和国の設立>
1970年代のナイジェリアは、油田マネーによる政治腐敗と貧富の差の拡大、
多くの問題を抱えていました。
そんな状況の中、11、1974年に政府に反旗をひるがえし、
「カラクタ共和国」という独自の国を作ります。
しかし、そんな彼の国家内国家の設立が政府に認められるはずはなく、
カラクタ共和国は12警察と軍隊による襲撃を受け、13彼は逮捕されてしまいます。
しかし、本当の闘いはそれから始まりました。
彼は刑務所からの出獄後、
すぐにその獄中での出来事をもとに強烈なリズムとブラスサウンドをを持つ曲を作りあげ「アラグボン・クローズ」(1974発売)として発売します。
さらに、襲撃事件については「カラクタ・ショウ」(1976年)、
そして彼らを襲った軍隊を批判して「ゾンビー」(1976年)など、
次々に政府を批判するアルバムを発表していったのです。
なんと、ナイジェリア国内では、これらの17アルバムがどれも大ヒットし、
その凄さは国境を越えて海外にまで伝わって行きました。
その後も、カラクタ共和国は何度となく軍隊による襲撃や放火などの被害を受け続けますが、フェラはその都度新しいアルバムを発表し、果てしない闘いが続き、
政府の弾圧はさらに強まって行きます。
しかし、彼はけっしてその闘いから手を引きませんでした。
これほどの「闘うミュージシャン」は、未だかつて存在しなかったのではないでしょうか。
彼のそんな強靱な精神力が生みだしたリズムだからこそ、
彼のアフリカン・ビートが生み出すグルーブは、
多くの人々の体を休むことなく動かし続けて、
フェラクティがカリスマであり続ける理由かなと思います。
1997年58歳でなくなりますが、
その意志は息子のフェミクティとセウンクティに引き継がれています。
そんなメッセージ性が強いフェラクティ是非聴いてみてください。
本日も、ありがとうございました。
チャーリー・パーカーは人間らしくない。感動はしないけど、すごいやつ。まずはconfirmationから聴いて
貴重な動いている映像です。
チャーリー・パーカーとは
1920.8.29 - 1955.3.12 35歳没
アメリカのジャズ・アルト・サックス奏者。ジャズ史上最大の革新者。「ビ・パップ」というジャズジャンルの創始者の一人。真に天才の名に値するジャズマンであり、即興演奏の極限をきわめる天衣無縫なプレーを見せた。又「私生活でも酒、麻薬、女性問題をめぐって壮烈な生き方を見せた。
一般的にジャズって5人くらいの編成で、アドリブをバンバン演奏するイメージが強いのではないのでしょうか。
そのアドリブのイメージを植え付けたのが、このチャーリー・パーカーです。
それまではジャズといえば、ビックバンドが全盛期でした。
Sing, sing, sing, Benny Goodman
ビックバンドミュージックは、ダンス・ミュージックです。
そんな中で、1933年にルーズベルト大統領のニューディール政策がはまり、景気が回復。アメリカ経済は世界恐慌前のような安定さを取り戻します。
その中で、浸透していった音楽がのこのビックバンドです。
まさに、スーパー・ダンスブーム。
この時代のことを『スイング・エラ』といいます。(1933年〜1939年くらいまで。)
チャーリー・パーカーももれなく、ビックバンドでサックスを演奏していました。
そして、時代は太平洋戦争に突入します。
踊ってなどいられなくなり、ダンスバンドの需要は激減します。
ジャズメンにとって苦難の時代です。
しかし、水面下での深夜のジャム・セッションから『ビバップ』が生まれます。
SWING TO BOP (1941) by Charlie Christian
『ミントンズ・プレイハウス』(ジャズ・バー)などで行われていたジャムセッションは、いかにオリジナル・メロディに影響されない自分ならではのメロディを、いかにコードに外れずに即興的に演奏するか。
というライバルとの勝負である。この熾烈な競争から、「革新的なアドリブ法」が誕生し、アドリブを第一とジャズが生まれました。それがビバップです。
長くなりましたが、その代表的なプレーヤーが
チャーリー・パーカーです。
チャーリー・パーカーのどこがすごいのか。
- とにかく速い。(指がとんでいってしまうのではないかと思う)
- 麻薬常習者だからイカれた状態での録音もあり、鬼気迫る感じがある。
- 麻薬常習者なのにまるでロボットが演奏しているかのように正確
- 若くして亡くなっている(34歳)のに録音はたくさんある。
- ジャズの帝王マイルス・デイビスがチャーリー・パーカーを慕いニューヨークに来た。
- チャーリー・パーカーのフレーズを今でも多くのミュージシャンが真似している。
って感じです。
オススメはコンファメーション。ぜひ聴いてみてください。
おすすめのアルバムはこれ。聴きやすい曲がたくさん入ってます。
クラシックCD聴き比べ♫ オススメの『月光』を紹介!(結論:ポリーニはすごい)
ベートーベンの月光は好きだけど、どの音源がいいのかわからない。
そんな方のために、今回は、下記4名のピアニストの月光を聴き比べたいと思います。
(あくまでも、個人的な意見になるので、あしからず。)
【先に結果を記載します】
1、ヴィルヘルム・ケンプ(ベートーベン界の巨匠)総合評価50点(微妙)
2、ユンディ・リ(史上最年少ショパンコンクール優勝)総合評価30点(残念)
3、マウリツィオ・ポリーニ(キングオブザピアニスト)総合評価100点(芸術の極み)
4、
■1人目 ヴィルヘルム・ケンプ (録音時期:不明)
(ドイツ人・1895年〜1991年シュトゥットガルト音楽学校の校長・得意なのはドイツ古典派〜ロマン派作品・生涯で5回ベートーベンソナタ全集を録音している)
〈1楽章〉
音の粒がはっきりしている。非常に聴きやすいが、音がはっきりしすぎていて、
楽譜通りに演奏しているだけに感じる。
ケンプ先生すみません・・・。正直、つまらない・・・。
〈2楽章〉
当楽章特有の明るくて軽快な雰囲気を出そうとしているが、物足りない・・・。
途中から音が重く感じる。これもすごくつまらない・・。
ケンプ先生この録音時の体調がよくなかったのかな・・・。
〈3楽章〉
ペダルをあまり使わず演奏。音の粒はやっぱりはっきり聴こえるね。
でもやっぱり、この楽章の鬼気迫る感じが物足りない・・・。
なにも伝わってこない。ただ演奏しているだけ。
個人的には音楽をもっと表現してほしい。
【総評】
全体的にイマイチ。もちろん演奏はうまいけど、心は揺さぶられない。
総合得点 60点
■2人目 ユンディ・リ (録音:2012年)
(僅か18歳ながらにして、中国人初のショパンコンクール優勝者。(ショパンコンクール史上最年少)イケメンピアニストとしても有名。2020年1月現在37歳)
〈1楽章〉
音がとにかく冷たくて、硬い。耳が痛くなってしまう。
なぜここまで表現しないのか・・・。なにも意志が伝わってきません・・・涙
次の楽章に期待。
〈2楽章〉
重すぎる。音が途中で割れてるし・・・。
ベートーベンの楽曲の素晴らしさから、なんとか聴けるが、
この人には心がないのかなって思ってしまう。
恐らく、次の3楽章はおそらく、リさんなら得意でしょう。
〈3楽章〉
とにかく得意感がすごい。速い。こういう楽章がきっと好きなんですね。
めちゃくちゃうまい。でもそれだけ。
これを聴くと、音楽ではなくスポーツに感じます。
【総評】
うまい。でもそれだけ。
とにかく冷たい。表現しない。楽譜通り演奏するなら、天才。
音楽を聴かせて欲しいと思ってしまいました。涙
総合得点 30点(残念)
■3人目 マウリツィオ・ポリーニ (録音:2016年)
(イタリア人。誰もが認める現代最高のピアニストの一人。ユンディ・リと同じく18歳でショパン国際ピアノコンクールで優勝。8年ほど演奏活動から遠ざかるが、1968年の再デビュー。以後、ピアニストの頂点の座を保ち続ける。2020年1月現在77歳)
〈1楽章〉
とにかく美しい。
音を大事にする。
音に命を与える。
少ない音で、多くのメッセージを伝える。
まさに音を語る詩人。
〈2楽章〉
軽快にいかないのかい!と思わずツッコミをいれたくなるが、
とても優しくて穏やかな演奏。
まさに崖の谷間に咲く一輪の花。素敵すぎる。
〈3楽章〉
ペダルを結構使う。かなり響いているが、心地よい。
速いだけではなく、優しさ、不安、激情等のいろいろな感情を表現をしている。
70代の演奏だとは思えません。
まさに胸アツ。
【総評】
まるで、音楽を通じて映画を見ているかのよう。
とにかくみんなに聴いてほしい。
この演奏を否定できる人は世界のどこにもいないでしょう。
心を揺さぶる音楽を聴きたいならこの音源です。
まさに芸術作品。
総合得点 100点(素晴らしすぎます。感動しました。)
■4人目 辻井 伸行(録音:2018年)
(日本を代表する全盲のピアニスト。2009年、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで。日本人として同コンクール初優勝者である。)
〈1楽章〉
柔らかい音が印象的。フレーズの歌い方はうまい。
しかし、表現や雰囲気作りをしないと、深みが物足りなく感じてしまう。
〈2楽章〉
美しい。味がある演奏。テンポの揺らし具合も、程よい。
フォルテ(大きい音)を演奏するときに、
音がはじけすぎて、うるさく聴こえてしまうのがもったいない。
〈3楽章〉
無難。うまいし、表現も多彩。
しかし、ポリーニを聴いたあとだと物足りない。
【総評】
無難にいい演奏です。
でもポリーニがすごすぎて、リピートリスニングはしないでしょう。
総合得点 70点(この演奏を聴く時間があれば、ポリーニをおすすめします。)
以上になります。
あくまでもトラエイタの主観なのであしからず。
音楽はどのような聴き方があってもいいと思います。
トラエイタは
芸術表現としての美しい音楽
メッセージ性のある音楽
個性のある音楽
こういったところを大事に聴いていきたいと思います。
今回は月光の聴き比べを紹介させていただきました。
ありがとうございます!
『月光ってかっこいい』ヘビメタ好きがベートーベンのピアノ曲を聴き始めるなら、これ一択。
月光を簡単に紹介します。
1楽章 → とにかく静か。美しく神秘的で有名な楽章。(ヘビメタ好きには物足りないかも)
2楽章 → まさに癒やし。谷間に咲く一輪の花。優しくて愛にあふれるきれいな楽章。(ヘビメタ好きには物足りないかも)
3楽章 → とにかくうるさい。感情むき出しのヘビメタ。
早速、月光の3楽章を聴いてください。
http://andotowa.sakura.ne.jp/Room/Beethoven-MoonlightSonata-3.mp3
この曲は速い。そしてかっこいい。
なんか興奮してこないですか。
そうなんです。聴いていて興奮する曲です。
まさに『ヘビメタ』です。
ヘビメタのバンドといえば、この人たち。
Dragon Force
DragonForce - The Game (Official Video)
なんか少し似てないですか?
一定の時間の中で、多くの音を聴かせて感情を吐露し、聴衆を魅了させる。
こういったところでは、ジャンルは違えど、同じ音楽です。
そしてこの曲は、これまでのクラシック界の伝統とはかけ離れています。
ベートーベンは革新的な人で伝統をただただ守るという事を嫌っていました。
------------------この作品でどんな変わったことをしたか-------------------------
ベートーベンはこの作品に「幻想曲風ソナタ」というタイトルをつけました。
この「幻想」とは、即興演奏・自由な発想という意味があり、そこにはそピアノ・ソナタの常識を覆そうとする、ベートーベンの強い意思があります。
まず第1楽章にはゆっくりと音を切らないよう演奏する事が指示されています。これは当時のソナタではありえないことでした。それ以前のピアノ・ソナタは、第1楽章は速いテンポで華やかに始まるというのが一般的であり、さらに第1楽章に「ソナタ形式」を使うことも、当時のピアノ・ソナタの常識でした。
しかしベートーベンは「ソナタ形式」を第1楽章ではなく、第3楽章に使っています。
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ベートーベンはこの作品を書いたときには、耳の異常を強く感じて、思い悩んでいました。(翌年には、悩みすぎて、遺書まで書いています。)
そんな感情のはけ口がこの月光から強く感じられます。
形式にとらわれずに、強い感情を音楽に載せて表現する。
そんなスタイルをベートーベンは伝えてくれています。
苦しみ
死
悩み
このような辛い感情のはけ口にしたベートーベンの楽曲『月光』は、
『芸術表現とはなにか。』を考えさせてくれる、一曲です。
なんだかすっきりしたい。
燃えたい。
ストレス発散したい。
そんなときにこの『月光』を是非聴いてみてください。
ということで、次にクラシックを聴くときにこんなことを悩む人がいると思います。
どの演奏者のどのアルバムを聴いたらいいのか。
それでは、次回は、トラエイタ的解釈で、どのアルバムがオススメなのか紹介させていただきます!